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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1226号 判決

被告人

間瀨義夫

外一名

主文

原判決中被告人両名に関する部分を破棄する。

本件を名古屋地方裁判所半田支部に差し戻す。

理由

尤も一の事件について既に弁護人が選任されている以上併合された同一被告人の他の事件にも当然その弁護人の弁護権が及ぶ即ちその弁護人が併合された同一被告人の全事件の弁護人となるという見解もあるかも知れないが弁護権はその選任行爲によつて明示された事件以外には及ばぬと解すべきものであるから右の見解は当裁判所の認容し得ないところである而して前示各事件(遺失物橫領事件を省く)は何れも刑事訴訟法第二百八十九條によつて弁護人なくして開廷できない所謂強制弁護事件であるから前示各事件中被告人等の爲に弁護人の選任されていない事件(遺失物橫領事件を省く)については弁護人なくして開廷審理された違法があり且つその違法は当該部分の公判手続を無効ならしめるものと解されるが既に述べたように原審は各事件を同一の手続において一括審理していてその無効の部分と無効でない部分とを区別し得ないように融合しているので結局その公判手続は全体としても無効という外はなくこの無効な公判手続に基礎を置く原判決中被告人両名に関する部分も亦瑕疵あるものとなさざるを得ない即ち原審の公判手続は訴訟手続の法令に違背があつてその違背が判決に影響を及ぼすことが明かであるから既にこの点において各控訴趣旨に対する判断をなす迄もなく本件各控訴は理由あり

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